マイケルソン・モーレーの実験
今回は、前回の記事Maxwell方程式のガリレイ変換性の続きとして、絶対静止系(エーテル)の探求についてお話をしたいかと思います。
前回で『Maxwell方程式はガリレイ不変ではない』ということがわかり、じゃあ次に物理学者たちは何をしたのかといえば、そこから3つの可能性を考えました。
①『マックスウェル方程式正しくない』んじゃない!?っていう問いかけ。
②『ガリレイ相対性は、電磁気学に成立していない。マックスウェル方程式が綺麗な形をとる系(絶対静止系、つまり、エーテル)がただ一つだけある』んじゃない!?っていう問いかけ。
③『マックスウェル方程式は正しく、ガリレイ変換が変更を要する』んじゃない!?っていう問いかけ。
第三の可能性こそ正しく後にローレンツやポアンカレが『ローレンツ(ポアンカレ)変換』を導出するのですが、これに関連する記事は次回(明日にでも^^)にして、今回は、物理学者たちが中々絶対静止系を捨て去ることができなかったという第二の可能性について考えてみたいかと思います。
この第二の可能性を信じる物理学者は大多数を占めていたわけですが、彼らに多大な影響を与えたのかの『マイケルソン・モーレーの実験』です。
概略図は以下のようになります。
今、図のように光源から出た光をハーフミラーで分解し、そのまま直進する光をビーム1とし、直角に反射する光をビーム2とすると、ビーム1、ビーム2の光が鏡で反射され、干渉計で観測される干渉稿をみて、エーテルの影響が本当にあるのかどうか判断します。
それではまず、ビーム1について考えましょう。
行きはで、帰りはです。
すると
合計時間
(ただし、)
次に、ビーム2について考えてみます。
なので、整理すると
時間
との差をとすると
ここで、エーテル風は地球の自転方向のみに働いているためこの装置全体を90度回転させ、自転する方向と垂直な方向にもエーテル風の影響を与えてやって時間差が限りなくゼロに近いことを証明します。(つまり、エーテルの存在を否定する結果を導きます)
とすると
となり
とすれば
ここで
,
ですから
よって、便宜上とすると
となりますので、,,を代入すると、
となります。
一方、実験データではΔδ<0.01になるはずだといっております。
つまり、エーテルの存在を仮定すると実測値と理論値が合致しませんので、エーテルを捨て去らざるを得ない状況に追い込まれることになりますね。
因みに、の場合でもエーテルの存在を認めるデータは得られていないようです。
これで、絶対静止系というものは存在しないことがわかり、物理界は『第三の可能性』への道へ走ることになりました。
次回は、ローレンツ変換を紹介する前にその足掛けとなったローレンツ収縮について述べたいかと思います。
※急いで書きましたので間違っているかもしれませんが、その時はコメント・メール等で知らせてくだされば幸いです^^;