ガリレオ・ガリレイの相対性原理(簡易版)

以前、この原理を紹介しましたが、中盤でテンソル解析を用いてしまったため、かなりわかりにくいと思った方が多数おられるかと思います。
(前回の記事→ガリレイの相対性原理


そこで、今日は、『ガリレイの相対性原理』が『世界を支配しない原理である』ことをなるべくわかりやすく紹介しようと思ってます。


その前に、何故ガリレイの相対性原理というものが生まれたのか、その根本原因を一言でいうなれば、『ニュートンの第一法則』にあるかと思います。


ニュートンの第一法則とは、彼の集大成のプリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)によれば、『すべての物体は、その静止の状態を、あるいは直線上の一様な運動状態を、外力によってその状態を変えられない限りそのまま続ける』というものです。これは簡潔に言い換えると、『慣性の法則の成立する系(慣性系)が必ず存在する』ということになります。


つまり、『ある慣性系Sで成り立つ諸運動が他の慣性系S'でも同じように諸運動を記述できるのか』ってことが、ガリレオ・ガリレイの考える相対性原理(仮説)です。


ここで、わかりやすくイメージできるよう数式を導入してみます。

S系:1つの慣性系
S'系:S系に対し、x軸に正の方向に一定の速度vで運動している慣性系

とすれば、2つの慣性系の座標間の関係は、

t=0[s]でS系とS'系が一致しているとすれば、

x'=x-vt…①
y'=y…②
z'=z…③
t'=t…④

となります。
ここで、x',y',z',t'はS'系の座標を意味します。

さて、①〜③を時間t(=t')で微分すると

\frac{dx'}{dt}=\frac{dx'}{dt'}={v_x}'=v_x-v…⑤
{v_y}'=v_y…⑥
{v_z}'=v_z…⑦

⑤〜⑦を再度時間で微分すれば、

\frac{d{v_x}'}{dt}={a_x}'=\frac{dv_x}{dt}=a_x
{a_y}'=a_y
{a_z}'=a_z

つまり、ベクトル表示で表すと、a'=aが成り立ちますね^^

ここで質量mと質量m'が等しく、力Fと力F'が等しいと仮定すれば、

m'a'=F' (S'系)
ma=F (S系)

となり、どのような慣性系でも、ニュートンの第二法則『ma=F』の形に表すことができましたので、これは『ニュートン運動方程式は、ガリレイ変換に対して不変である』といいます。


これは、あくまでガリレオ・ガリレイによる原理(仮説)であります。


では、この仮説は、力学のみならず電磁気学や熱力学などをすべてを支配するような完全たる原理なのでしょうか。


今、確かめられたのは『ニュートンの力学』のみですので次に『電磁気学』はどうなのか見ていきたいかと思います。


結果からいえば、『電磁気学』ではガリレイの相対性原理(仮説)は成り立ちません。


証明は、また今度やろうかと思ってますが、数学の前提知識としては『偏微分』『ベクトル解析』が必要です。