カオス・フラクタル・複雑系

『数学』という学問は、測量の道具や物理学・工学の記述言語と思われがちですが、実際の科学や技術は数学の進歩の上に成立していることは疑うこともできぬ事実であろうかと思います。

それゆえに、今や『数学』に課された課題とは『数学』として完結する問題を解くことが中心となってきてます。

しかし、未だに表現できないのが『複雑な自然現象』なのです。

一見規則的にみえる自然界の出来事が厳密には一定でない『ゆらぎ』があり、その複雑構造により簡潔な糸口を見出す分野が『カオス・フラクタル複雑系』であります。

まず、『カオス』から話を始めるとして、『カオス』とはご存知の通り『無秩序さ・混沌』を意味する言葉として、いわば宇宙初期の状態を表すものとの学説があり、不規則な対象を扱う分野です。

なお、数学でいう『カオス』とは複雑で規則性のない現象を『不安定性を内包した秩序構造の上で起こる運動は、少しの誤差が運動と共に拡大することにより、不規則で複雑にみえる』とし『より高次元の規則性を見出せるもの』を指し示します。それでもって、『カオス』の研究領域は、例えば空に浮かぶ雲が様々に形を変える際の規則性や、様々なパターン変化をする脳波の規則性、水の流動性に関する規則性などがあります。

次にフラクタルとは一体何なのか説明したいかと思います。

フラクタルって聞きなれない言葉かと思いますが、要するに或るモノの形を『拡大・縮小』しても『同じ形』になるものをいうのだそうです。有名な例としては、海岸線や雲の形など、規則性の見出せない形もその一部を拡大することで、何度拡大しても同じ形が現れたり、逆に、一部を縮小しても同じ形が現れることがありますよね。このようなフラクタルを用いることで自然が作る形といものの解明がはかられることでしょう。

最後に複雑系の話をちょこっとして今回の記事を終えましょう。

複雑系とは、多数の様々な未知の要因が重なりあって、基本的な系の構造が見出せぬものであり、いわば非微分方程式(未来予測が不可能なこと)に他ならないでしょう。複雑系の有名例としては、ウィルスの流行状況、素粒子ランダムウォーク、株価変動などがありますよね。

これに関しては書店でもよく見かける分野なので、気になって調べた方も割かし多いことでしょうから、話が長くなりそうなのでここらで切ます。