微分方程式の有用性

微分方程式とは、一言でいうなれば、初期条件とある変化の法則がわかっていれば未来予測をすることが可能なものとされています。


昨日紹介したニュートン運動方程式(高さhにあるボールの自由落下)

m\frac{d^2{x}}{dt^2}=-mg

だって、微分方程式であり、これは二階の微分方程式にあたります。


では、本当に初期条件とある変化の法則があれば、未来予測可能なのでしょうか?


例えば、初期条件として時刻t=0[s]でのx軸上での位置x(0)をx(0)=hと置き、この微分方程式を解いてみます。


解を

x(t)=at^2+bt+c\;\;a,b,c=const

と置き、初期条件を代入すると

x(0)=c=h

となります。そして

\frac{{d^2}x}{dt^2}=2a

ですから

a=-\frac{1}{2}g

更に、この運動方程式は自由落下を記述したものですから

v(0)=\frac{dx(t)}{dt}|_{t=0}=b=0

となり、次の解が得られることになります。

x(t)=-\frac{1}{2}gt^2+h

これは、高校の物理でもよく出てくる自由落下の位置x(t)を記述する運動方程式ですね。


このように、微分方程式の初期条件さえ与えてやれば未来予測は可能です。


では、物理以外に微分方程式が適応されている分野はといいますと


化学の反応速度なんかにも適応されていますね。


ある反応物質の濃度を[A]と書けば、

\frac{d[A]}{dt}=-k[A]

(但し、kは速度定数)と記述され先程と同じように初期条件を[A]=[A]_0と置いてやってこれを解けば

[A]=[A]_0e^{-kt}

となります。


そして、反応物の濃度が初濃度の半分に減少するまでに要する時間を半減期といい

[A]={[A]_0}/2

と置き、そのときの時刻(半減期)を

t=t_{\frac{1}{2}}

とすると

t_{\frac{1}{2}}=\frac{log_e{2}}{k}

となり、これを先程の得られた解に代入すれば

[A]={[A]_0}e^{-\frac{log_e{2}}{t_{\frac{1}{2}}}t}=[A]_0(\frac{1}{2})^{\frac{t}{t_{\frac{1}{2}}}}

だから、我々がよく知っている半減期に関する式が導出されるのがわかります。


この他にも微分方程式電気分野では過渡現象の理解として、また、経済界では長期的な株価変動の分析として利用されており、更に生物学においては細胞の増殖過程をも記述する微分方程式だって勿論存在します。


このように微分方程式は数学の分野の中ではかなり重要な位置を占める単元であると同時に、自然科学への応用が利きやすいものでもあります。


微分方程式をもっと複雑にした偏微分方程式なら、熱伝導方程式電磁方程式、また、波動方程式など、自然を美しく記述する数学的なこれらの道具によって、より複雑化した自然現象を解明できますので、我々人間社会の発展への微分方程式の寄与は著しく大きいものであると確信しております。


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