測地線の方程式

測地線の方程式とは、最小作用の原理をもとにしており、『作用を最小にする経路』を記述する方程式です。


よく具体論として出されるのは、ボールを斜方投射したときに緩やかな放物線を描き、そのままの勢いで落ちてくる過程を想定した場合には、実際目でみる上ではボールの描く軌跡(経路)は最小かどうかなんてはっきりとしたことはいえませんが、ボールの立場(ボールと一緒に動く慣性系)では真っ直ぐに進んでいます。


更に、光の屈折でも同じことがいえます。


媒質が異なる境界面において、屈折率の小さい媒質から大きい媒質へと光が入射し屈折する過程で、光自身は経路が最短になるよう進んでいます。


他にも、光が重力の大きい星のそばを通過するとき曲がっているように見えますが、実際は真っ直ぐに進んでいることも挙げられます。


このように、重力が働く場で最短の経路を記述するのが、測地線方程式の正体となっているかと思います。


そこで、ここでは一般相対論を学ぶ上ではおなじみのオイラーラグランジュ方程式から測地線方程式の導出を試みたいかと思います。

ここでの目的は、運動エネルギー、位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)で表されるラグラジュアンLを含むオイラーラグランジュ方程式が、『作用を最小にする経路』を記述する方程式であることを示すことです。


ラグランジュ方程式とは、Lをラグランジュアンとし、Tを運動エネルギー、Uを位置エネルギーとすれば

L=T-U

だから

\frac{\partial}{{\partial}t}(\frac{{\partial}L}{{\partial}\dot~q})=\frac{{\partial}L}{{\partial}q}

と表わされるものであり、座標(q,q',....)は一般化座標を意味しています。


例えば、q=x,q'=v=dx/dtとし、自由落下するボールの運動方程式を立ててみるとすると

L=\frac{1}{2}m(\frac{dx}{dt})^2-mgx

だから

\frac{\partial{L}}{\partial{x}}=-mg
\frac{\partial{L}}{\partial{\dot~x}}=m\frac{dx}{dt}

となります。

これを整理すれば

m\frac{{d^2}x}{dt^2}=-mg

が得られますから、これはラグランジュ方程式からニュートン方程式を導出したことになります。


よく解析力学の初段階の基礎的な部分で出てくる事項であり、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーのみで運動を記述できる便利な方程式として紹介されます。


ラグランジュ方程式の概要が分っていただけたと思いますので、以後、ラグランジュ方程式から測地線の方程式を導いてみます。


まず、ラグランジュアンを

L_{\alpha\beta}=\sqrt{-g_{\alpha\beta}\frac{dx^\alpha}{d\lambda}\frac{dx^\beta}{d\lambda}}

テンソル表示し、以下のラグランジュ方程式に代入します。

\frac{d}{d\lambda}(\frac{\partial{L_{\alpha\beta}}}{\partial{\dot~x^\mu}})=\frac{\partial{L_{\alpha\beta}}}{\partial{x^\mu}}

そして、ここでは面倒なの割愛しますが、ゴリゴリ計算しますと以下のように測地線方程式が出てきます。

\frac{{d^2}x^\mu}{d\lambda^2}+\Gamma^{\mu}_{\alpha\beta}\frac{dx^\alpha}{d\lambda}\frac{dx^\beta}{d\lambda}=0

ただし

\Gamma^{\mu}_{\alpha\beta}

は、クリストッフェル記号とよばれるもので、計量テンソルで表されます。


これ以上は議論が難解になりますので、詳細を知りたい方は、コメントで質問なさるか、一般相対論のテキストやテンソルの書籍を購入して勉強してみて下さい。


以上で、今回の本題の測地線方程式をそれなりに紹介できましたので終えたいかと思います^^
(次回の物理学に関する記事はアインシュタイン重力場の方程式、ブラックホールをやります)

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