一階の線形微分方程式(その2).
前回の一階の線形微分方程式に続いて今回は、電気回路理論での直列RC回路における短絡波のときのコンデンサに蓄えられる電荷の時間的変化をみていきたいと思う.
まず、問題の設定をすると
というものである.
直列RC回路というのは、左図の回路で、右図はそのベクトル図を表す.
(Rは抵抗、Cはコンデンサ)
問題文には『短絡波』とあるが、これは何を言ってるかというと、別名四角波というのだが、その名の通りE-t平面では、四角が間隔をあけて幾つも連なっているものである.つまり、ある一定値VがT秒続いた後、その後は一定値0で次はVと変化していくものである.
さて、キルヒホッフの電圧則により、R、C、Q、E(t)についての関係式を立てると
E(t)=R(dQ/dt)+Q/C…①
と表される.
(鄯)0≦t≦Tのときと(鄱)T<tのときとで場合わけして考えてみると、
まず、(鄯)のときは
E(t)=V(=一定)なので、①の左辺はVとなるから、
V=R(dQ/dt)+Q/C
これを変形すると、
dQ/dt=-Q/RC+V/R…②
これは一階線形微分方程式だから、その一般解法に則って説明していきたいと思う.
②の補助方程式を
dQ/dt=-Q/RC
とするなら、両辺をtで積分して
∫(1/Q)(dQ/dt)dt=(-1/RC)∫dt
ln|Q|=-t/RC+F (F:比例定数)
よって、
Q=±e-t/RC+F=Ge-t/RC (G:比例定数)
となる.
ここで、定数変化法より、定数Gを未知関数u(t)に置き換えると
Q(t)=u(t)e-t/RC…③
となり、これを②へ代入し整理すると
du(t)/dt=(V/R)et/RC
両辺をtで積分すると
∫(du(t)/dt)dt=(V/R)∫et/RCdt
u(t)=(V/R)RCet/RC+H (H:比例定数)
よって、
u(t)=CVet/RC+H
となり、これを③へ代入すると
Q(t)=(VCet/RC+H)e-t/RC…③
=He-t/RC+VC.
初期条件Q(0)=0より、積分定数Hは決定する.
その値は、H=-VCだから
Q(t)=VC(1-e-t/RC) (0≦t≦T).
一方、(鄱)では、E(t)=0なので、①の左辺を0だから
0=R(dQ/dt)+Q/C
この一般解は、上記で計算したように
Q(t)=Ie-t/RC (I:比例定数)
となる.
積分定数IはQ(T)=VC(1-e-T/RC)から
Q(t)=VC(eT/RC-1)e-t/RC (t≧T).
以上より求めたいものが得られた.