約350年間わからなかったフェルマーの最終定理について

フェルマーの最終定理とは、今から十年程前にアンドリュー・ワイルズが証明した数学史上最も難しいといわれた1つの予想(問題)です。このフェルマー予想(最終定理)は、フェルマーが17世紀にディオファントスの『算術』の中で、その余白に証明抜きで書かれたものです。


数学に精通している方ならご存知かと思いますが、数学における『〜予想』(フェルマー予想谷山・志村予想など)というものは、それが完全に数学的に証明なされると『〜定理』となります。


以前までは、『フェルマー予想』となっており、今日においてはそれが完全に証明されているので『フェルマーの最終定理』となっているのですね^^
(ただし、ここではややこしくなるのでフェルマー予想フェルマーの最終定理は同等のものとして扱います)


では、ここでそのフェルマーの最終定理とやらを下記に記してみます。

3以上の自然数nに対して、
X^n+Y^n=Z^n
を満たす自然数(X,Y,Z)は存在しない。

一見、問題文の意味だけなら小学生でも理解できるようなものですが、実際に解こうとすれば全く歯が立たないことがわかるでしょう^^;


なんといっても、自然数n=3の場合、n=4の場合、n=5の場合と繰り返したところで、たとえそれぞれが証明できたとしても、『それじゃあ、その次はどうなんだ?』と聞かれれば、永遠にその場合について証明しなければなりませんからね。


『それも証明すればいいじゃないのか』と思う方もいると思いますが、これでは最新のパソコンを用いたとしても永遠に解決は計れません。なんてったって自然数nは『無限』に存在しますから、終わりがないのです。


じゃあ如何すれば解くことができるのかといえば、谷山・志村予想とやらを完全に証明して、定理にすれば、フェルマーの予想が証明できることがわかりました。


谷山・志村予想というのは、簡単に言えば楕円曲線のあるE系列とモジュラー形式のあるM系列が一対一に対応関係をもつことです。


では、なぜ谷山・志村予想がわかれば、フェルマーの最終定理を解決できるのかと言えば、背理法を用いれば簡単に分かります。

①まず、フェルマーの最終定理自然数nが3以上の場合でも解が一組存在すると仮定します。

②これを変形すると楕円方程式の形にできる。

③楕円方程式ならモジュラー形式との関連がわかり谷山・志村予想がわかる。

④しかし、この楕円方程式は異常な形をしていることがわかりました。

つまり、

⑤この楕円方程式における解は存在しないのではないかということがわかりました。

⑥そうすると、最初の仮定、つまり、『解が一組存在する』としたことが誤りであったことがわかる。

フェルマーの最終定理解決か...!?

って感じの流れだったと思います^^


となれば、フェルマーの最終定理の解決のキー予想は、谷山・志村予想にあるように見えますので、ワイルズはこれを証明しようと最終的に8年間を費やすことになります。


谷山・志村予想とは、非常に厄介な代物で楕円曲線(楕円方程式)とモジュラー形式という数学における全く異質の分野を統合するもので、誰もが証明することはできないだろうと思っていたようです。


しかし、ワイルズは子供の頃からのフェルマーの最終定理への憧れから、絶対に自分が解くんだという意識をもって日々頑張っていたようです。


とまあ、こういった感動的な話が永遠と続き、ワイルズフェルマーの最終定理を証明してしまうのですが、相当にきつかった8年間でしょう。(特に最後の1年間は...)


ところで、フェルマーの予想なり、四色問題なり、ポアンカレ予想なり、最近の数学界は凄まじい勢いで難問を解決していることに感心してしまいます^^


数論界においてゼータの統一が最終目標なのだろうけど、本当に果てしないなあ...。